カラーテレビに存在する白黒問題
子供の頃、たぶん僕が小学生くらいの頃。
我が家はテレビの買い替えを検討していた。
27インチから29インチへのステップアップだ。
家電好きの父は各社のカタログをもらってきて、母にプレゼンを行った。
父の第一候補は最新型の白いテレビ。
それまで黒のテレビを愛用してきた我が家にとっては大きな挑戦である。
果たしてテレビのフチが白くて画面の邪魔にならないのだろうか?
保守派の母は黒いテレビを推したが、父の心は白いテレビの虜になっていた。
平行線の議論が続いていたある日、僕が目を覚ましてリビングにいくと、テレビが真っ白になっていた。
父が強行採決に踏み切ったかと思ったがそうではなく、
これまで使っていたテレビに白い紙(チラシと裏側)が貼られていたのだ。
これで気にならなかったら白いテレビ、
ダメだったら黒いテレビということらしい。
なにその決め方、ちょーかわいくない?
当時40歳くらいの両親が二人でセロテープを輪っかにしてチラシをペタペタ貼っているところを想像するとたまらなくかわいい。
目の付け所が全然シャープじゃない。
ティッシュの箱で、小物入れをよく作っていた母の発案だろう。
ダサさは愛なのだ。
そんな世界のカド山モデルにも1週間ほどで慣れ、白いテレビの購入が決定した。
やってきたテレビは確かに白かったが、チラシの真っ白に慣れてしまった僕達は物足りなさを感じたのだった。
そんな日の事を思い出した。
なぜ思い出したかというと、僕が使わなくなってあげた黒いiPhone4に父が、白いフチの液晶保護シールを張っているのを見つけたからだ。
ヤツはまだあの白さを諦めていない。